万博を陰で支える建材。
中空ポリカ『SEPLUX』が実現する美と機能性の融合
大屋根リングへ繋がるエスカレーター in 大阪・関西万博 2025

現在開催されている国際イベント、大阪・関西万博2025。
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、各国、各企業が多彩なパビリオン、展示を通して未来の社会のあり方を表現しています。

そんな万博会場の中で、目をひくのが大屋根リングです。
世界最大の木造建築物としてギネス世界記録にも認定されています。
その大屋根リングへと続くエスカレーターの外装に、
ジョイント式中空ポリカーボネートパネルの「SEPLUX」が、使われています。

SEPLUX（セプラックス）は、単に機能性にとどまらず、建築美や意匠性においても、重要な役割を果たしています。今回屋外会場のエスカレーターに使用されることで、中空ポリカの新たな魅力が見出されています。さらに、日常的な移動空間であるエスカレーターが、来場者の目を引く「建築作品」として、さまざまなアーティストとコラボレーション（下部に紹介写真）もされています。

ではなぜ今回中空ポリカーボネートが選ばれたのでしょう？

ポリカーボネートの中空板が選ばれた理由とは？

中空板であること

こちらのエスカレーターには40mm厚の中空板が使用されていますが、
中空ではない40mmのポリカーボネートだと、１平米あたり約48kgにもなります。
重量が重くなればなるほど建造物への負荷が高くなり、支柱の太さや素材も
考慮する必要があります。また、建造物そのものへの負荷に加えて、
輸送や施工にかかる負担も、建材の重量で変わってきます。
では中空板SEPLUXだとどれくらいでしょう。
なんと１平米あたり、たったの4kgです。
軽量性のみならず、高い強度も兼ね備えたポリカーボネート素材だからこそ、
実現できたデザインだといえます。

ジョイント式であること

接続部材を使用しないため、つなぎ目が浮き上がることなく、平らなファサードを演出できます。
見た目にも美しく、意匠性という面でも優位性があります。また、今回のコラボレーションで見られるように、
キャンバスとしてポリカーボネートの表面にデザインを描くということも可能にしています。

エスカレーターは来場者を大屋根リングへと繋げる導線であり、
会場の印象を決める重要な空間の一つです。
大屋根リングは日本の伝統的な木組み工法をモチーフに設計されており、接続部材を必要としないSEPLUXがその意匠に馴染み、
美観と軽量性のバランスが構造や空間と調和する形で活用されています。

X型多層構造が見せる
時間ごとの美しさ

ジョイント式の中空ポリカーボネートSEPLUXは、先述の機能面に加えて、意匠性にも優れ、建造物に彩りを加えてくれます。

晴れた日、下からエスカレーターを見上げると、
陽の光が中空ポリカを通して差し込みます。
内部の構造がうっすらと浮かび上がり、美しい表情を見せます。

曇りの日には、金具の存在がほとんど見えなくなり、
建造物そのものと一体化するような見せ方をしてくれます。

夜になると、X型の中空構造が周囲の明かりを多方面に反射して、
様々な色彩を表現し、景色に溶け込みつつもその存在感を見せてくれます。

このように、天候や時間帯によって姿を変える素材としての魅力は、建築に動的な表情をもたらします。

強度の高い
テクニカル構造

今回の構造設計で特筆すべき点の一つは、地盤沈下を想定した「独立構造とエクスパンション接続」です。
大屋根リングとエスカレーターは、それぞれが自立して建築され、その上でエクスパンションにより、それぞれをつなぎ合わせてあります。

この設計により、地盤変動への耐性を持たせながら、美観も損なわない高度な構造美が実現されています。
軽量で強度の高い中空ポリカーボネートパネルは、こうした関西万博のような高負荷・高耐久性が求められる環境下でも十分に対応できる素材です。

5基のエスカレーターは、複数社が分担して施工をしているということで、それぞれにわずかながらデザインの違いがあります。
ぜひ現地で「どこがどう違うのか？」を観察してみてください。